葬儀と告別式の違いとは?通夜との使い分け・参列の判断・日程の決まり方

訃報を受け取ったとき、案内状に「葬儀・告別式」と併記されていて、どちらに伺えばよいのか迷うことがあります。

葬儀と告別式はもともと目的の異なる儀式で、葬儀は僧侶が読経する宗教的な儀礼、告別式は会葬者が最後の別れを告げる場という違いがあります。現在は同じ日に続けて行われることがほとんどのため、案内では一続きに書かれ、区別が分かりにくくなっています。

この記事では、通夜や葬式も含めた4つの言葉の使い分けと、ご自身と故人様との関係ならどちらに伺うのが適切かという判断の目安を、浄土真宗のお寺として日々葬儀に携わる立場から整理してお伝えします。

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葬儀と告別式の違い|通夜・葬式を含む4つの言葉を整理

葬儀と告別式を性格・中心・内容の3項目で対比した図。葬儀は宗教的な儀礼で僧侶などの宗教者が中心、読経を中心としたお勤め。告別式は社会的なお別れの式で喪主と会葬者が中心、焼香・献花・出棺。現在は同じ日に続けて行うと示す

お葬式に関わる言葉は似たものが多く、案内状を読んでも区別がつきにくいものです。それぞれが何を指しているのか、一つずつ確認していきます。

まず、混同されやすい葬儀と告別式を並べると、性格の違いがはっきりします。

葬儀 告別式
儀式の性格 宗教的な儀礼 社会的なお別れの式
中心となる人 僧侶などの宗教者 喪主と会葬者
主な内容 僧侶などによる読経を中心とした宗教儀礼 焼香・献花・出棺

葬儀とは|僧侶が読経し宗教的な儀礼として執り行われる部分

葬儀とは、僧侶が読経を行い、宗教的な儀礼として執り行われる部分を指します。ご遺族や近親者が故人様を送るために、宗教者を招いてお勤めをする、式の中心にあたる時間です。

どのような意味を持つ儀礼と受け止めるかは宗教や宗派によって異なり、読経の内容や作法もそれぞれ違います。仏式であれば僧侶の読経と参列者の焼香、神式であれば神職による儀式と玉串奉奠、キリスト教式であれば牧師や神父による説教と献花が、この時間にあたります。共通しているのは、特定の宗教の教えや作法に則ってお勤めが行われるという点です。

告別式とは|会葬者が故人に最後の別れを告げる場

告別式とは、ご遺族や友人、仕事関係者などの会葬者が、故人様に最後の別れを告げるための社会的な式典です。

こちらは宗教的な儀礼とは異なり、生前にお世話になった方々が感謝の気持ちを伝え、お別れをするための時間とされています。一般の参列者が焼香を行ったり、お花を棺に納めたりする時間がこれに該当します。

本来の形をたどると、告別式は宗教儀礼を伴わない式であるため、この時間には僧侶や神職、牧師は退席しているとされます。誰が中心に立っているかを見ると、葬儀と告別式の境目が分かりやすくなります。

通夜・葬式との関係と言葉の使い分け

「葬式」という言葉は、一般的に「葬儀」と「告別式」を合わせた一連の儀式全体の総称として使われることが多いです。

一方「通夜」は、葬儀・告別式が行われる前日の夕方から夜にかけて、故人様との最後の夜を過ごす儀式を指します。これら4つの言葉は、時間帯や儀式の目的によってそれぞれ使い分けられています。

なお「葬儀」は宗教的な儀礼を指す言葉であるため、宗教者を招かない無宗教のお見送りでは「葬儀・告別式」ではなく「告別式」とだけ案内されることがあります。案内状の表記からも、どのような形で執り行われるのかを読み取れます。

葬儀と告別式が同じ日に続けて行われる理由

言葉の上では別々の儀式でありながら、実際にはひとまとめに案内されます。そうなった背景を、儀式の成り立ちから見ていきます。

もともとは目的の異なる別々の儀式だった

告別式が生まれたのは明治の終わりごろです。「中江兆民の死と葬儀 ─最初の「告別式」と生の最終表現としての葬儀─」(村上興匡・東京大学宗教学年報 第19号)によれば、1901年(明治34年)に亡くなった思想家・中江兆民の葬送について、「17日、葬式が行われたが、これが無宗教式「告別式」の嚆矢とされている」と記されています。遺言により宗教上の儀式を用いない形が選ばれ、死亡広告にも「告別式執行」と告知されました。

同論文は、その式の中身についても「中江告別式では、寺院に代えて青山葬儀所が使われ、僧侶の読経に代えて、弔辞、演説、弔歌の献読などが行われ、焼香の代わりに棺前告別が行われたと見ることができる。葬儀式の順序・枠組みとしては、当時行われていた葬儀と大きく変わるものではなく、僧侶が関わる宗教儀式部分を他のもので代替した形といえる」と述べています。

つまり最初の告別式は、葬儀の流れそのものを変えたのではなく、宗教儀礼にあたる部分を別の形に置き換えたものだったと捉えられています。葬儀は宗教的な儀礼、告別式は宗教によらないお別れの場という現在の区別も、この成り立ちと重なります。

現在は葬儀に続けて告別式を行うのが一般的

ただし告別式は、その直後から広く行われるようになったわけではありません。先の論文でも「行う者は大学関係者や法曹関係などに偏っており、「自宅告別式」という形で一般大衆に広まるのは昭和になってからである」と指摘されています。

現代においては、参列者の時間的な負担や斎場の利用時間などを考慮し、葬儀に続けて告別式を行うのが一般的となっています。

そのため、案内状などには「葬儀・告別式」と一続きで表記されることが多くなりました。一連の流れとして同日に執り行われますが、その中身には宗教的な儀礼と社会的なお別れという二つの側面が含まれています。

一日葬・直葬では告別式の扱いがどう変わるか

近年では、ライフスタイルの変化に伴い、通夜を行わずに1日で葬儀と告別式を執り行う「一日葬」が増加しています。

また、儀式自体を省略して火葬のみを行う「直葬(火葬式)」という選択肢も選ばれるようになっています。これらの形式では、告別式が簡略化されたり省略されたりすることもありますが、故人様を偲ぶ遺族の心理的な節目としての役割は変わりません。

通夜から火葬まで|どのタイミングで何が行われるか

4つの言葉の関係は、時間の流れに沿って並べると分かりやすくなります。一般的な2日間の進み方に当てはめて確認します。

1日目:通夜(夕方から夜にかけて弔問を受ける時間)

1日目の夕方から行われるのが通夜です。開始は18時から19時ごろ、式そのものは1時間から1時間半ほどで終わることが多く、弔問客が多い場合はさらに時間がかかります。

かつては夜を通して灯りを絶やさずに過ごしましたが、現在は数時間で切り上げる「半通夜」と呼ばれる形が主流です。受付から通夜振る舞いの席まで含めると、参列する側の滞在時間はおおよそ2時間から3時間になります。

主に仕事関係の方や、翌日の昼間に行われる告別式への参列が難しい方が、夜間に弔問に訪れる時間としての役割が強くなっています。親族や親しい友人は、夜を通して故人様に寄り添うこともあります。式の後には、参列者をもてなす通夜振る舞いの席が設けられることもあります。

2日目:葬儀・告別式から出棺・火葬まで

2日目は午前10時から11時ごろに始まり、葬儀と告別式を合わせて1時間から2時間ほどで執り行われるのが一般的です。火葬場の予約時間から逆算して開始時刻が決まるため、地域や斎場の事情によって前後します。

ただし式のあとに出棺・火葬と続き、その後の会食まで同行する場合は、午前中に始まって夕方までかかることもあります。告別式だけに伺うのか、火葬場までお見送りするのかで、空けておく時間が変わります。

式が終了すると、最後のお別れ(花入れなど)を経て出棺となり、火葬場へと向かいます。つまり参列者から見ると、通夜は夜、葬儀・告別式は日中という時間帯の違いがそのまま、どちらに伺うかの選択につながります。臨終直後の安置から初七日までを含めた葬儀の流れや費用は、それぞれ別途まとめています。

通夜と告別式の日程はどう決まるのか

案内された日程を見て「亡くなった翌日ではないのはなぜか」と感じることがあります。日程は遺族の都合だけで決まるものではありません。

火葬場の空き状況が起点になる

葬儀・告別式のあとには火葬が控えているため、まず火葬場を押さえられる日時が決まり、そこから逆算して式の開始時刻が決まります。都市部では火葬場が混み合い、数日待つことも珍しくありません。ご逝去から数日空いてから通夜が営まれるのは、多くの場合この事情によります。

僧侶など宗教者の都合を合わせる

読経をお願いする僧侶にも他のお勤めがあります。火葬場の枠と宗教者の都合、この2つが合う日時が式の候補になります。菩提寺がある場合は、亡くなった時点で早めに連絡を入れておくと、日程調整が進めやすくなります。

友引を避ける慣習と、その考え方

「友引に葬儀・告別式を行わない」という慣習が各地にあります。友を引くという語感から避けられてきたもので、この日を休業とする火葬場も多く、結果として日程が動く要因になります。

一方で通夜は友引でも行われることがあり、扱いは地域によって異なります。参列する側としては、案内された日程がご逝去から数日空いていても、こうした事情によるものと受け止めてください。

通夜と告別式、どちらに参列すればよい?

言葉の違いが分かると、次に迷うのは自分がどちらに伺うべきかという点です。故人様との関係性を軸に、判断の目安を示します。

判断の前提として、2つの式は目的も参列する顔ぶれも異なります。

通夜 葬儀・告別式
目的 故人様と最後の夜を過ごす 最後のお別れを告げて見送る
時間帯 夜(18時〜19時ごろ開始) 日中(10時〜11時ごろ開始)
参列する範囲 家族・親族・親しい友人が中心 知人や仕事関係の方まで広く

親族・友人知人・仕事関係で変わる判断の目安

通夜と告別式のどちらに参列するかを関係性別に示した図。ご親族は通夜と告別式の両方、親しかった友人は両方または都合のつく一方、仕事関係・知人はどちらか一方、面識が浅い場合は告別式または弔電。一方だけでも失礼にはならないと示す

参列する日程は、故人様やご遺族との関係性によって判断するのが目安となります。関係の近さ別に整理すると、次のようになります。

ご関係 伺う日の目安
ご親族(三親等以内が目安) 通夜と告別式の両方
特に親しかった友人 両方、または都合のつく一方
仕事関係・一般の知人 どちらか一方(夜の通夜を選ぶ方が多い)
面識が浅い場合 告別式に伺うか、弔電で気持ちを伝える

ご親族や特に親しかった友人知人は、通夜と告別式の両方に参列することが望ましいとされています。一方で、仕事関係の方や一般の知人の場合は、告別式のみ、あるいは仕事の都合に合わせて通夜のみに参列するのが一般的です。

ただし近年は、日中の告別式より夜の通夜のほうが都合をつけやすいことから、間柄にかかわらず通夜だけに伺う方が増えています。どちらか一方しか伺えない場合でも、失礼にはあたりません。なお仕事の関係で会社を代表して伺う場合は、どちらに参列するかを社内で確認してから決めると間違いがありません。

両方に参列する場合の考え方

故人様と非常に深い関わりがあった場合は、両方に参列して最後のお見送りをいたします。香典は両日に持参するものではなく、最初に伺う日に一度お渡しするのが一般的とされています。通夜でお渡しした場合、告別式では受付での記帳のみを行います。ただし、ご遺族は大変な悲しみと忙しさの中にいらっしゃいます。長居を避ける、受付で名乗る際に手短に済ませるなど、負担をかけない心配りが求められます。なお宗教や宗派によって進行は異なりますので、その場の作法に合わせて動きます。

どちらにも参列できないときの対応

どうしても都合がつかず、どちらの日程にも参列できない場合は、弔電を送る、供花を手配する、あるいは後日改めて弔問に伺うといった方法があります。

服装や香典の包み方、焼香の作法など、葬儀に参列する際のマナーそのものについては、あわせてご確認ください。

葬儀と告別式の違いに関するよくある質問

参列の場面で判断に迷いやすい点をまとめました。

葬儀と告別式は同じですか?

厳密には同じではありません。葬儀は僧侶による宗教的な儀礼であり、告別式は一般の参列者がお別れをする社会的な儀式です。

現代ではこれらが同日に連続して行われるため混同されやすいですが、それぞれの持つ意味合いや役割は異なります。

告別式だけに参列しても失礼になりませんか?

告別式のみに参列することは、決して失礼にはあたりません。

本来、一般の参列者は告別式に伺うのが正式な形であり、日中の参列が難しい場合に通夜へ伺うという使い分けがなされています。

家族葬でも告別式は行われますか?

家族葬であっても、基本的には葬儀や告別式は執り行われます。

ただし、参列者を限定して親族のみで行うため、一般の方の参列は辞退されることが多く、案内がない場合は参列を控えるのがマナーです。

一日葬では通夜と告別式のどちらが行われますか?

一日葬では通夜は行われず、葬儀と告別式のみが1日で執り行われます。

お忙しい現代において、ご遺族や遠方からの参列者の負担を軽減する形式として選ばれることがあります。

お別れ会・偲ぶ会と告別式は何が違いますか?

告別式は伝統的な葬儀の流れに組み込まれた儀式ですが、お別れ会や偲ぶ会は宗教色を排して自由な形式で行われることが多いです。

密葬や家族葬を済ませた後に、日を改めて友人や仕事関係者を招いて開催されるケースが一般的です。

「葬儀・告別式」とまとめて案内されるのはなぜですか?

現代の葬儀では、葬儀の式典が終了した直後に、そのまま同じ会場で告別式へと移行するためです。

時間的な区切りが連続しているため、参列者への案内としては「葬儀・告別式」とまとめて表記されます。

まとめ

葬儀は僧侶が読経する宗教的な儀礼、告別式は会葬者が最後の別れを告げる場で、もともとは目的の異なる別々の式でした。それが現在は同じ日に続けて行われるため、案内状では「葬儀・告別式」と一続きに書かれています。

時間帯で見ると、通夜は前日の夜、葬儀・告別式は翌日の日中です。ご親族や親しかった方は両方に、仕事関係や一般の知人の方はどちらか都合のつく日に伺うのが目安になります。近年はどちらか一方だけの参列も珍しくありません。

言葉の違いが分かれば、案内状から式の形が読み取れます。ご自身と故人様との関わりに合わせて、伺う日を決めてください。

どちらに伺うか決めかねるときや、宗派によって作法が違って不安なときは、葬儀を執り行うお寺に尋ねていただいて差し支えありません。西栄寺も日々葬儀のお勤めに携わっており、こうしたご質問をお受けすることがあります。

西栄寺の住職に通夜と告別式の迷いを相談する

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参考文献

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この記事を書いた人

西栄寺の住職、山田博泰です。僧侶として70年、住職として40年にわたり、ご葬儀や法事、永代供養、納骨堂のご相談にお応えしてきました。「はい!っと返事、にこっと笑顔で、ぽん!っと行動」を教訓に、檀信徒の皆さまに親しみやすいお寺をめざして歩んでいます。供養や終活で不安を抱える方へ、お寺の立場から丁寧にお伝えします。

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