法事のお供え物は何がいい?金額相場やのしの書き方を住職が解説

近々法事(法要)に参列する予定があり、お供え物の選び方やマナーに悩んでいませんか。お供え物は、お菓子や果物、お花など「後に残らないもの(消えもの)」から選び、金額は3,000円〜5,000円程度が目安です。この範囲であれば、ご遺族に気を使わせずに済みます。
この記事では、西栄寺の住職として、法事のお供え物の選び方や金額相場、のし(掛け紙)の書き方、渡し方の作法まで、分かりやすくお話しいたします。なお、法事そのものの意味合いや当日の進み方については、別の記事でも詳しくご紹介しておりますので、よろしければあわせて参考にしてください。
法事にお供え物は必要?持参するかどうかの判断
法事とは、故人様を偲び、私たちが仏法に出会う大切な節目となる行事です。法事の意味や当日の流れについては、別の記事で詳しく解説しています。参列するにあたって、お供え物を持参すべきかどうかは判断に迷うところです。
お供え物は必須ではない ― 持参したほうがよい場合と、なくてよい場合
故人様やご遺族との関係が深い場合や、法要に参列する場合には、持参されることをおすすめします。
しかし、ご遺族から「お供え物は辞退します」と事前に連絡があった場合や、ご家族のみで営む小規模な法要では、無理に持参する必要はありません。
お供え物は誰に向けてお供えするものか
お供え物は、仏教の考え方において、仏さまに向けてお供えするものです。
「よくあるご質問|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」では、「浄土真宗の味わいでは、亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土に生まれ、仏さまになっておられます。ということは、こちらから善を振り向ける必要はないのです」と説明されています。
お供え物は、故人様を供養するためというよりも、仏さまへの敬意を表し、私たちが仏縁に触れるためのものと考えると、意味がつかみやすくなります。
香典(御仏前)とお供え物は両方必要か
基本的には両方をご用意するのがより丁寧ですが、どちらか一方のみでも失礼にはあたりません。
地域やご親族間の慣習、故人様との関係性の深さによっても判断は分かれます。
品物で持参するか「御供物料」として包むか
お供え物は、お菓子などの品物として持参するだけでなく、現金として「御供物料(おくもつりょう)」を包む方法もあります。遠方から参列するため荷物を減らしたい場合や、ご遺族が後でお供え物を分ける手間を省きたい場合に選ばれます。金額は品物より高めで、5,000円〜10,000円程度が目安とされます。
なお、香典や御供物料の具体的な金額相場、不祝儀袋の書き方といった法事のお金のマナーについては、別の記事で分かりやすく解説しています。あわせて参考にしてください。
法事のお供え物の金額相場
お供え物を用意するとき、多くの方が最初に迷われるのが金額です。
品物の相場は3,000円〜5,000円が目安

法事のお供え物として持参する品物の金額は、3,000円〜5,000円程度を目安にしてください。この範囲であれば、ご遺族に余計な気遣いをさせず、かつ失礼にならない適切な品物を選ぶことができます。
故人様との関係が近いほど高くなる傾向
故人様と血縁の近いご親族の場合は、5,000円〜10,000円程度と、相場より高めの品物を選ばれることもあります。
一方で、ご友人や知人としての参列であれば、3,000円〜5,000円程度で十分です。
高価すぎるお供えを控えたほうがよい理由
お供え物の金額が高価すぎると、ご遺族にお返しの心配をさせてしまうなど、かえって負担をかけてしまうことがあります。弔事では、相手に余計な気遣いをさせないことも配慮のうちです。相場を大きく超えるような高価なお供え物は控えます。
法事のお供え物にふさわしい品物
金額の目安が定まったら、次は何を選ぶかです。仏事のお供えには古くからの考え方があり、それを知っておくと選ぶ基準がはっきりします。
仏教で基本とされる「五供(ごくう)」という考え方

仏教におけるお供え物の基本として「五供(ごくう)」という概念があります。五供とは、「香(お線香)」「花(お花)」「灯明(ろうそくの灯り)」「浄水(お水)」「飲食(お供えする食べ物)」の5つを指し、それぞれに仏教的な意味があります。
お供え物を選ぶ際は、この五供にちなんだ品物から選んでいただくと、仏さまへの敬意が伝わります。以下でご紹介するお菓子や果物、飲み物は「飲食」、お花は「花」、お線香とろうそくは「香」と「灯明」にあたります。
お菓子 ― 個包装・常温・日持ちで選ぶ
お菓子はお供え物の定番であり、ご遺族にも喜ばれやすい品物です。選ぶ基準としては、法要後に「お下がり」として分けやすいため「個包装」であること、冷蔵の必要がない「常温保存可能」なもの、そして「日持ちがするもの」をおすすめいたします。クッキーやマドレーヌなどの焼き菓子や、お煎餅などがよく選ばれます。
果物 ― 季節のものを選び、盛りかごは扱いに配慮する
季節の果物もお供え物としてよく選ばれます。丸い果物(りんごやメロンなど)は「円(縁)」を連想させるため、仏教の場でも好まれる傾向にあります。
盛りかごは豪華で見栄えがしますが、持ち帰りや処分の手間がかかります。ご遺族の負担にならないサイズや仕様のものを選びます。
お花 ― 色合いと本数の考え方
お花をお供えする際は、白を基調とし、淡い紫や黄色などを混ぜた落ち着いた色合いが基本です。本数は奇数(3本、5本、7本など)にされると、仏教の伝統的な飾り方に馴染みやすくなります。トゲのあるバラや、香りが強すぎるお花は、仏前を清らかに保つためにも避けていただくのがマナーです。
お線香・ろうそく ― 好みが分かれにくく残らない
お線香やろうそくは、五供の「香」「灯明」にあたるため、お供え物としてふさわしい品物です。日持ちを気にする必要がなく、好みが分かれにくいため、ご遺族にとっても実用的なお供え物になります。
故人様が好きだった飲み物やお酒を選ぶとき
故人様が生前好まれていたお酒やジュース、お茶などをお供えすることもあります。ただし、宗派やご家庭の考え方によってはお酒のお供えを控える場合もありますので、事前に確認されるか、お茶などを選ばれるほうが無難です。缶やペットボトルなど、小分けにしやすい形状のものが好まれます。
法事のお供え物として避けたほうがよいもの
ふさわしいとされる品物がある一方で、仏前にお供えするものとして控えたほうがよいものもあります。
殺生を連想させる肉・魚
仏教の教えにおいて、殺生を連想させる肉や魚(生臭物)はお供え物として避けるべきとされています。加工品であっても、肉や魚が使われているものは避けます。お供え物を選ぶ際は、植物性の原材料で作られたものを選びます。
香りの強いもの、傷みやすいもの
にんにくやニラなど香りの強い食べ物や、傷みやすい生菓子、要冷蔵の食品はお供え物には適しません。仏前を清らかに保つためと、ご遺族の手間を増やさないためです。また、日持ちのしない生クリームを使った洋菓子なども、避けていただくのが無難です。
とげのある花・つる性の花
バラのようにとげのあるお花や、つる性のお花は、仏事のお供えとしては避けるのが一般的です。とげは怪我や殺生を連想させ、つるは絡みつく様子が「未練」を連想させるためです。お花を贈る際は、トゲのない季節の花や菊などが向いています。
四・九のつく個数や派手な色合い
「死」や「苦」を連想させる「四」や「九」の個数、また原色などの派手な色合いの品物や包装は避けます。弔事の場にふさわしい、落ち着いた色調のものを選びましょう。
お供え物の「のし紙(掛け紙)」と表書きの書き方
品物が決まったあと、意外と迷うのが掛け紙です。表書きの言葉も水引の色も、地域や宗派によって違いがあります。
掛け紙の選び方と水引の色 ― 四十九日の前後と、関西の黄白
弔事のお供え物には、のし(紅白の飾り)がない「掛け紙」を使用します。水引は結び切りを選び、色は四十九日を迎える前と忌明け後で使い分けます。四十九日までは黒白や双銀、忌明け後は双銀や黄白が用いられます。
私どものお寺がある関西などの西日本地域では、忌明け後に黄白の水引が使われることが多くあります。ただし、地域やご家庭の慣習によって異なることもありますので、事前に周囲へ確認しておくと迷いません。
表書きは「御供」「御仏前」― 浄土真宗で「御霊前」を用いない理由
掛け紙の表書きには「御供(おそなえ)」や「御仏前(ごぶつぜん)」と書くのが一般的です。
「よくあるご質問|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」では、他家の葬儀や法事に参列した場合の金封について、「故人の霊に捧げるのではなく、仏さまに捧げるので、書くなら『御仏前』です」と説明されています。
お供え物の掛け紙も同じ考え方にあたりますので、表書きには「御仏前」または「御供」を用います。市販の掛け紙には「御霊前」と印刷されたものもありますので、購入の際にご確認ください。
名前の書き方(個人・連名・薄墨と濃墨の使い分け)
水引の下部中央に、贈り主の氏名をフルネームで書きます。連名の場合は、右側から順に立場が上の人の名前を書き、夫婦の場合は夫の氏名を中央に、その左に妻の名のみを書くのが一般的です。
法事(法要)は、葬儀とは異なりあらかじめ準備ができる行事ですので、濃墨(通常の黒い墨)で書きます。ただし四十九日を迎える前の法要では、薄墨を用いることもあります。
外のしと内のしの使い分け
掛け紙の掛け方には、包装紙の外側に掛ける「外のし(外掛け)」と、品物に直接掛けてから包装する「内のし(内掛け)」があります。
持参して手渡す場合は、誰からのお供え物かが一目で分かる「外のし」が一般的です。郵送する場合は、掛け紙が破れないように「内のし」を選びます。
掛け紙をかけなくてよい場合
ごく親しい身内だけで行う家族法要や、ご遺族から「掛け紙などの包装は不要」と事前に伝えられている場合は、掛け紙を省略することもあります。
ただし、基本的には掛け紙を掛けるのが丁寧な作法です。迷った場合は、略式にせず掛け紙をご用意することをおすすめいたします。
お供え物の渡し方と供え方
当日、お供え物をいつ、誰に渡せばよいのか。知らないまま伺うと、法要の場で戸惑ってしまうことがあります。
施主に手渡すタイミングと、添える言葉
お供え物は、到着してすぐに自分で仏壇に供えるのではなく、まずは施主(ご遺族の代表者)に手渡すのがマナーです。挨拶の際に「どうぞ御仏前にお供えください」と一言添えて手渡してください。
持参する際は紙袋や風呂敷に包んで運び、お渡しするときは中から取り出して両手でお渡しします。紙袋に入れたまま手渡すのは略式にあたります。
勝手に仏壇に供えてしまうと、ご遺族の管理や配置の都合を乱してしまう可能性があるため、少し注意が必要です。
仏前に直接お供えするときの置き方と向き
施主から「どうぞお供えください」と促された場合は、自分で仏前にお供えします。その際、お供え物の正面(表書きの文字)は、お参りする私たちの側に向けて置くのが一般的です。
仏さまにお供えしたものを、やがて私たちがお下がりとしていただく、という考え方によるものです。ただし向きの作法は地域やお寺によって異なることもありますので、迷われたときはご遺族やお寺にお尋ねください。
お寺で法事を勤める場合のお供え
自宅ではなくお寺で法事を勤める場合も、お供え物を持参することがあります。この場合も、お寺の受付や施主に直接手渡し、勝手に本堂の仏前に供えることは避けていただくのがマナーです。
なお、お寺で法事をする場合の流れや持ち物については、別の記事でも詳しくご紹介しておりますので、よろしければあわせて参考にしてください。
参列できないときに送る場合の手順
法事に参列できないものの、お供え物を送りたい場合は、法要の2〜3日前に届くように手配します。その際、お供え物だけでなく、お詫びと故人様への想いを綴った手紙(挨拶状)を添えます。
宛先は施主のご自宅とし、法要会場に直接送る場合は、事前に会場の許可を得ておきます。
法事のあとの「お下がり」の扱い
法要が終わった後、お供え物は「お下がり」として参列者やご遺族で分けて持ち帰るのが仏教的なマナーです。仏さまからのお恵みを皆で分かち合うという意味があります。
分けやすいように、個包装のお菓子などが選ばれるのはこのためでもあります。
法事のお供えに関するよくある質問
お供え物の準備について、参列される方からよく寄せられる質問にお答えします。
法事のお供えの表書きは何と書きますか?
法事のお供え物の表書きは、「御供(おそなえ)」や「御仏前(ごぶつぜん)」と書くのが一般的です。
四十九日以降の法要では「御仏前」を用います。浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、他家の葬儀に参列する場合も「御仏前」と示されていますので、掛け紙を選ぶ際にご確認ください。
法事のお供えにお菓子は必要ですか?
法事のお供えにお菓子は必須ではありませんが、分けやすく日持ちするため、最も定番で喜ばれる品物です。
お菓子以外にも、お花やお線香、果物など、五供にちなんだ品物から選んでいただけます。
法事でお坊さんにお渡しするお菓子の表書きは?
お寺へお菓子をお渡しする際の表書きは「御供」とします。
僧侶個人へのお土産ではなく、お寺へお納めするお供えにあたりますので、表書きも「御供」を用いるのが本来の形です。
お供えは現金で包んでもよいですか?
はい、お供えとして現金を包んでいただいても全く問題ありません。その場合は「御供物料」として不祝儀袋に包みます。
品物の代わりに現金を包むと、ご遺族が管理しやすくなるという面もあります。
お供えののしは黄色と黒のどちらがよいですか?
四十九日までは黒白や双銀、忌明け後は双銀や黄白を用います。関西など西日本では、忌明け後に黄白が使われることが多くあります。
地域の慣習やご家庭の考え方に合わせてお選びください。迷った場合は黒白を選びます。
お供え物と香典は両方必要ですか?
両方ご用意するのが丁寧ですが、どちらか一方のみでも差し支えありません。
故人様とのご関係の深さや地域の慣習、ご遺族の意向(辞退など)に合わせてご判断ください。
まとめ
お供え物は、必ず持参しなければならないものではありません。ご遺族から辞退の連絡があれば無理に用意する必要はなく、持参する場合は3,000円〜5,000円を目安に、個包装で日持ちのするお菓子や果物、お線香などから選びます。
掛け紙の表書きは「御供」または「御仏前」とし、水引の色は四十九日の前後と地域によって分かれます。当日は仏前へ直接置くのではなく、まず施主に手渡します。迷われることがあれば、どうぞお近くのお寺やご遺族に遠慮なくお尋ねください。
西栄寺は大阪・堺・尼崎などに拠点を置く浄土真宗の単立寺院です。法事のお勤めに伺うなかでいただくお供えのご質問にも、お寺の立場からお答えしています。ご用意で迷われたときは、どうぞお声がけください。











