浄土真宗のお盆は何をする?しないことと過ごし方・仏壇の飾り方を解説

浄土真宗のお盆では、他宗派のように「先祖の霊を迎える」ための迎え火や精霊馬などは行いません。浄土真宗のお盆は、亡き人を偲びつつ、阿弥陀仏の救いと自らの「いのち」に向き合う時間です。この記事では、浄土真宗におけるお盆の受け止め方や、お仏壇のお飾り・お供えの作法について、住職が分かりやすく解説します。

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浄土真宗にお盆はある?「歓喜会(かんぎえ)」と呼ばれる理由

「浄土真宗にはお盆がない」と書かれた記事を目にして、戸惑った方もいるかもしれません。結論から言えば、お盆そのものはお勤めします。

お盆そのものはお勤めする

浄土真宗においてもお盆の行事そのものは大切にお勤めいたします。他宗派のように「故人の霊が帰ってくる期間」として捉えるのではなく、仏法に触れるご縁としてお盆を迎えます。

「歓喜会(かんぎえ)」とも呼ばれてきた

「盆|仏教語豆事典|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」は、「浄土真宗ではお盆のことを「歓喜会」とも呼んでいました」と記しています。同じ事典によれば、お盆は正しくは「盂蘭盆(うらぼん)」といい、サンスクリット語「ウランバナ」の音写で、逆さにつりさげられるような非常な苦しみという意味です。『仏説盂蘭盆経』には、お釈迦さまの弟子である目連尊者(もくれんそんじゃ)が、その苦しみのなかにあった亡き母を、仏さまの教えによって救われたことが説かれています。この経には「七月十五日」という日付が示されており、修行者の集団に食物などを供養したと説かれています。お盆という行事も、その時期も、この物語にさかのぼります。

追善供養としてのお盆ではない

浄土真宗のお盆は、生きている私たちが亡き人のために善行を積んで差し向ける「追善供養」ではありません。亡き人を縁として、いま生きている私たちが仏法を聞く(聞法)機会としての位置づけを持っています。

なぜ迎え火や精霊馬をしないのか|浄土真宗の受けとめ方

他宗派で当たり前に行われていることを浄土真宗がしないのには、教えの側の理由があります。作法の違いは、亡き人をどう受けとめるかの違いから生まれています。

亡き人はすでに仏になっておられるという受けとめ

「よくあるご質問|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」によると、亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土に生まれ、仏さまになっておられます。そのため、こちらから善を振り向ける必要はありません。法事はあくまで、参拝する一人ひとりが「私のために」仏法を聞く仏教行事とされています。

「帰ってくる」を前提にした作法が必要なくなる理由

一般的なお盆は、「先祖の霊がこの世に帰ってくる」という受けとめを前提にした行事です。浄土真宗ではこの前提を取らず、亡き人はすでに阿弥陀仏の救いによって浄土に生まれ、仏さまになっておられると受けとめます。迎える対象としての「霊」を想定しないため、道しるべとなる火や、乗り物に見立てたお供えを用意する作法も必要がなくなります。

浄土真宗のお盆はいつ?時期と地域による違い

お盆の時期は、浄土真宗だからといって他宗派と変わるわけではありません。分かれるのは宗派ではなく地域です。

8月13日から16日が一般的

浄土真宗のお盆も、他宗派と同じく8月13日から16日にかけて勤める地域が一般的です。「お盆の紹介(特集記事)|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」によると、もともと旧暦の7月15日という日付を、改暦にともなって1ヶ月遅らせたのが、この8月のお盆の時期にあたります。

7月に勤める地域もある

一方で、東京などの都市部や一部の地域では、旧暦の日付をそのまま新暦に当てはめて7月13日から16日にお盆を勤めます。地域によるお盆の時期の違いはありますが、浄土真宗としての教えや受け止め方に違いはありません。

浄土真宗のお盆で「しない」こと

浄土真宗のお盆でしないこと3点を示した図解。迎え火・送り火は道しるべの火として用いない、精霊棚・精霊馬は霊を迎える飾りとして用いない、新盆の白提灯は目印としては飾らない。亡き人はすでに浄土に生まれているという受けとめによる

お盆用品売り場に並ぶ品のなかには、浄土真宗では用いないものがあります。買い揃える前に確認しておきたいものが三つあります。

迎え火・送り火

浄土真宗では、お盆の始まりと終わりに門口で火を焚く「迎え火・送り火」は行いません。亡き人は特定の時期に迷いながら帰ってくるわけではないため、道しるべとしての火を灯す必要がないからです。

精霊棚・精霊馬

「お盆の紹介(特集記事)|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」によると、盆棚や精霊棚といった、先祖の霊を迎えてお祀りするための特別な飾りや供物は、浄土真宗では用いられません。また、「お盆・盂蘭盆会|真宗大谷派(東本願寺)真宗会館」によると、野菜で作る馬や牛などの特別なお供えを用意するのではなく、改めて亡き人を偲びながら、自らの「いのち」の事実と、そこにかけられた深い願いに耳を傾けることを大事にしてきました。

新盆の白提灯

他宗派では、初めてお盆を迎える際に「白提灯(無地の白い提灯)」を飾り、お盆が終わると処分する習慣があります。しかし、浄土真宗では故人が迷わず浄土へ往生しているという受け止めから、目印としての白提灯を飾ることはありません。

浄土真宗のお盆で「する」こと|お仏壇のお飾りとお供え

お盆のお仏壇のお飾り3点を示した図解。法要のときに掛ける布である打敷を掛ける、供笥に白い丸餅を左右一対でお供えする、お花は季節の生花を整えてろうそくを灯す。浄土真宗のお盆はお仏壇を中心に整える

しないことが分かったところで、実際に手を動かす場面です。浄土真宗のお盆の中心は、お仏壇を整えることにあります。

打敷(うちしき)を掛ける

「お盆・盂蘭盆会|真宗大谷派(東本願寺)真宗会館」によると、お内仏をきれいにして打敷を掛け、お供え物を調えますが、もし打敷を掛けるスペースが足りない場合は、無理にご用意いただかなくても大丈夫です。

供笥(くげ)に白い丸餅をお供えする

「お盆の紹介(特集記事)|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」によると、お盆の時期もほかの法要と同じように打敷を掛け、お餅や菓子、果物などを、ご本尊の手前に左右一対になるようにお供えします。このとき、「供笥(くげ)」という専用の台を用いると、より丁寧にお飾りできます。お供えするお餅は、一般的に白い丸餅を用います。なお、供笥の形は派によって異なり、本願寺派では六角形、大谷派では八角形のものが用いられます。

お花とろうそくの整え方

お仏壇のお花(仏花)は、季節の生花を整えてお供えします。とげのある花や強い匂いの花、毒のある花、造花は避けます。ろうそくは、お勤めの際にあかりを灯します。なお、故人が好んだものであっても、お酒やたばこはお供えにふさわしくないとされています。

盆提灯や切子灯籠は飾ってよいのか

盆提灯は、浄土真宗では必ず飾らなければならないものではありません。飾る場合も、霊を迎える目印としてではなく、お仏壇や仏間を荘厳(しょうごん)するものとして用います。地域によっては「切子灯籠(きりことうろう)」を吊るす習慣が伝わっているところもあります。

お寺の法要に参拝する・お墓参りに行く

お盆の過ごし方は、家のなかだけで完結するものではありません。お寺とお墓に足を運ぶことも、大切な過ごし方の一つです。

お寺の盂蘭盆会法要に参拝する

お盆の期間には、お寺で「盂蘭盆会法要(うらぼんえほうよう)・万燈会」が勤められます。西栄寺では、8月16日に大阪本坊、17日に堺支坊にて「盂蘭盆会法要」を執り行っています。こうしたお寺の法要に参拝し、ともに読経し法話を聞くことも、お盆の過ごし方の一つです。

お盆のお墓参り

「お盆・盂蘭盆会|真宗大谷派(東本願寺)真宗会館」によると、お寺やご家庭のお仏壇、そしてお墓へのお参りを通して、いま生きているこの私自身の「いのち」や人生を振り返る時間として過ごすのが、浄土真宗におけるお盆の迎え方です。お墓をきれいに掃除し、お花や線香をお供えして、家族そろって合掌礼拝します。

浄土真宗の初盆(新盆)はどうする?

四十九日を終えて初めて迎えるお盆を、初盆(新盆)と呼びます。ここでいちばん多くの方が悩むのが、法要を営むべきかどうかです。

「初盆の法要はしない」と決めつけない

浄土真宗は追善供養の考え方を取らないため、「初盆の法要はしない」と説明されることがあります。ただし実際には、初めて迎えるお盆を仏縁として法要を勤めるお寺もあり、扱いはお寺や地域によって分かれているのが実情です。「お盆・盂蘭盆会|真宗大谷派(東本願寺)真宗会館」は新盆(初盆)を「故人のご命終をあらためて受けとめ、その方を偲びつつ、自らのいのちを見つめ直す大切なご仏縁」として法要を承っており、会館とご自宅のどちらでも勤められるとしています。そのため、初盆の法要を執り行うべきかどうかは、事前に菩提寺(お寺)へ相談して確認してください。

家族だけで営んでもよいか

家族だけでお勤めする場合も、お寺に「お盆参り」を依頼して、僧侶にご読経いただくことができます。なお、お墓への納骨の時期をこの初盆のタイミングに合わせるご家庭もあります。

初盆の飾り付けは特別に必要か

初盆(新盆)だからといって、ここまでに挙げた以外の特別なお飾りが必要になるわけではありません。打敷を掛け、供笥にお餅やお菓子、果物をお供えするという基本は、通常のお盆と同じです。葬儀社から初盆用の祭壇をすすめられることもありますが、浄土真宗ではお仏壇を中心に整えます。

一周忌が近い場合の考え方

初盆を迎える時期と、亡くなってから満1年で迎える「一周忌」の法要の時期が近い場合があります。このような場合、初盆と一周忌をどのように執り行うべきかも、お寺の考え方や地域の慣習によって異なります。自己判断せず、事前にお寺の住職に相談して日程や進め方を決めてください。

初盆のお布施の考え方と表書き

初盆に僧侶を招いてお勤めいただく場合は、お布施を用意します。金額に決まりはなく、お寺との付き合いや地域の慣習によって幅があるため、迷う場合はお寺に直接尋ねて差し支えありません。「よくあるご質問|浄土真宗本願寺派(西本願寺)」によると、この「御布施」は、お寺のご本尊である阿弥陀さまにお供えするためのものです。そのため、僧侶に渡す金封において「御布施」以外の「御礼」「御経料」「回向料」といった表書きは、本来の趣旨から外れてしまうためふさわしくないとされています。なお、お布施の具体的な包み方やマナーについては、別の記事で詳しくご紹介しております。

浄土真宗のお盆に関するよくある質問

お盆の準備を進めるなかでよく尋ねられる質問をまとめました。

浄土真宗のお盆には何をしますか?

浄土真宗のお盆では、お仏壇をきれいに掃除し、打敷を掛けてお餅や果物などをお供えします。また、お寺の盂蘭盆会法要(歓喜会)に参拝したり、お墓参りをしたりして、亡き人を偲びながら仏法を聞く時間を過ごします。

浄土真宗では初盆の法要は必要ですか?

「浄土真宗では初盆法要をしない」と一概に断定することはできません。お寺や地域によって考え方が異なるため、法要を執り行うべきかどうかは、事前にご自身の菩提寺(お寺)へ直接尋ねて確認することをおすすめします。

浄土真宗のお盆で盆提灯は飾ってよいですか?

はい、浄土真宗でお盆に盆提灯を飾ることは問題ありません。他宗派のように「霊が迷わないための目印」としてではなく、お仏壇や仏間を華やかに荘厳(しょうごん)し、仏さまへの感謝を表す飾りとして用いられます。

浄土真宗のお盆はいつからいつまでですか?

一般的には、8月13日から16日までの4日間にお盆を勤める地域が多いです。ただし、東京などの一部地域では、旧暦の日付に合わせて7月13日から16日にお盆を勤めることもあります。

浄土真宗ではお盆に故人が帰ってこないというのは本当ですか?

はい、浄土真宗の教えでは、亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土で仏さまになっておられます。特定の時期にだけ迷いながら帰ってくるわけではないため、お迎えするための作法は必要ありません。

浄土真宗の初盆は家族だけで行ってもよいですか?

はい、初盆の法要を家族だけでお勤めすることは可能です。その場合も、お寺に「お盆参り」を依頼して僧侶にご読経いただくことができますので、事前にお寺へ相談しましょう。

浄土真宗の初盆のお布施はいくら包みますか?

初盆のお布施の金額は、お寺や地域、法要の規模によって異なるため、一概に特定の金額を示すことはできません。お布施の金額について疑問がある場合は、直接お寺の住職に尋ねてください。

お盆のお供えにほおずきは必要ですか?

浄土真宗のお盆において、ほおずきは必ず供えなければならないものではありません。他宗派ではほおずきを提灯に見立てて飾る習慣がありますが、浄土真宗では霊を迎えるための目印を必要としないためです。ただし、夏の季節のお供えとして供えることを妨げるものでもありません。

まとめ

浄土真宗のお盆は、他宗派のように「亡くなった方の霊をこの世に迎えて供養する」という形はとりません。亡き人はすでに阿弥陀仏の救いによって仏さまになっておられるという受け止めのもと、いま生きている私たちが仏さまの教えに出会う大切な機会(歓喜会)としてお盆をお勤めします。

お仏壇をきれいに整え、お寺の法要やお墓参りを通じて、改めて「いのち」の尊さに感謝する時間を過ごしましょう。初盆をどう勤めるかはお寺によって考え方が分かれますので、決めつけずに菩提寺へ尋ねてください。なお、浄土真宗にはお盆のほかにも、宗祖親鸞聖人のご恩に報いる報恩講や、永代経などの大切な法要があります。こうした年中行事を通じて、折に触れて仏法に親しんでいただければ幸いです。

西栄寺(大阪市西淀川区)では、お問い合わせフォームで盂蘭盆会法要についてのご相談を承っています。お参りの日程や当日の流れなど、気になることがあればお尋ねください。

→ 西栄寺の盂蘭盆会法要の日程を伺う

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参考文献

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この記事を書いた人

西栄寺の住職、山田博泰です。僧侶として70年、住職として40年にわたり、ご葬儀や法事、永代供養、納骨堂のご相談にお応えしてきました。「はい!っと返事、にこっと笑顔で、ぽん!っと行動」を教訓に、檀信徒の皆さまに親しみやすいお寺をめざして歩んでいます。供養や終活で不安を抱える方へ、お寺の立場から丁寧にお伝えします。

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