墓じまいして永代供養にする流れと費用は?後悔しない選び方を解説

「墓じまいしたいけどどうすればいいか?」「永代供養いくら?」「管理料はいくら?」といった疑問は、墓じまいを考え始めた方の多くが最初に突き当たるところです。お墓の継承者不足や遠方での管理にお悩みの方にとって、今あるお墓を片付ける墓じまいと、その後の遺骨の供養先となる永代供養を同時に進めることは、将来の負担を減らす選択肢になります。墓じまいと永代供養をセットで進めると、手続きや連絡調整を一度にまとめられます。この記事では、永代供養と墓じまいをスムーズに執り行うための具体的な手順や費用相場、後悔しないための選び方を、お寺の立場から解説します。

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墓じまいと永代供養は何が違う?

墓じまいと永代供養はセットで語られることが多いものの、指しているものは違います。順に整理します。

墓じまいは今あるお墓を撤去して墓地を返すこと

墓じまいとは、現在あるお墓を解体・撤去し、遺骨を取り出して更地にした上で、墓地の管理者に敷地を返還する一連の手続きと作業のことです。お墓を片付けることそのものを意味しており、取り出した遺骨をどのように供養するかという「その後の安置先」は、墓じまいと並行して決めておく必要があります。

永代供養はお寺や霊園が管理と供養を引き受ける仕組み

永代供養とは、お墓を継ぐ人がいない場合でも、お寺や霊園が責任を持って管理や供養を執り行う仕組みのことです。公益社団法人全日本墓園協会・横田睦による厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書「合葬式埋蔵施設(永代供養墓)に関する問題点の整理」によると、永代供養を執り行う施設は「承継者の有無にかかわらず、当該施設を提供する地方公共団体や、寺院、霊園が半永久的に供養・管理を約束する墓地(施設)」とされています。お墓の維持管理を遺族に代わって引き受ける仕組みですが、個別に安置される期間や管理料の扱いは施設によって異なります。

墓じまいのあとの納骨先として永代供養が選ばれる理由

墓じまいを行った後、取り出した遺骨の新しい安置先として永代供養を選ぶ方が増えています。永代供養であれば、お寺や霊園が引き続き供養を勤めるため、後継者がいなくても遺骨を託せます。

墓じまいをして永代供養に移す人が増えている背景

お墓の維持管理が難しくなる中、総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」でも、多くの墓地で無縁墳墓が発生している実態が明らかになっています。同局が全国1,718市町村を対象に実施した基礎調査によると、公営墓地・納骨堂を有する765市町村のうち、無縁墳墓等が1区画以上ある(疑いのあるものを含む)とした市町村は58.2%(445市町村)に上ります。この割合は人口規模が大きい自治体ほど高く、30万人以上の市では78.9%に達しており、お墓の維持が難しくなっている現状がうかがえます。

お墓を継ぐ人がいない・遠方で管理できないという事情

現代の日本では、少子高齢化や核家族化が進み、地方から都市部への人口移動も活発になっています。そのため、「実家のお墓を継ぐ人がいない」「お墓が遠方にあってお参りや草むしりなどの管理に行けない」という事情を抱える家庭が増えています。

無縁墳墓は公営墓地の約6割で起きており都市部ほど多い

このように、管理が行き届かなくなったお墓は全国の自治体に広がっており、人口規模が大きい自治体ほどその割合は高くなっています。お墓の継承者不足は、すでに個々の家庭だけの問題ではなくなっています。

お墓をそのままにしておくとどうなるか

お墓を管理する人がいなくなり放置された状態が続くと、やがて「無縁墓(むえんはか)」として扱われることになります。無縁墓になると、墓石が荒れて周囲の区画に迷惑をかけるだけでなく、法的な手続きを経てお墓が強制的に撤去され、遺骨は他の方の遺骨と一緒に合祀されることになってしまいます。

ただし、この手続きは墓地の管理者にとって簡単ではありません。無縁改葬には、1年以内に申し出る旨を官報に掲載し、かつ立札に1年間掲示して公告することが求められるなど、通常の改葬手続より慎重な進め方が必要です。総務省行政評価局の調査によると、平成28年度から令和2年度までの5年間に、公営墓地・納骨堂で焼骨の移管・墓石撤去にまで至った市町村は6.1%(47市町村)にとどまっています。放置されたお墓は、整理されないまま残り続けやすいということです。

自分の意思で墓じまいをして永代供養へ移せば、遺骨の行き先を自分で選べます。

墓じまいから永代供養までの手順

墓じまいから永代供養までの7ステップの図解。1親族で話し合い合意を得る、2菩提寺や霊園など墓地の管理者に相談、3受け入れ先を撤去前に決める、4市区町村役場で改葬許可を申請、5閉眼供養と出骨に石材店が立ち会う、6墓石を撤去して返還し墓じまい完了、7改葬許可証を提出して新しい供養先に納骨。受け入れ先は撤去より先に決める

墓じまいと永代供養の手続きは、親族への相談から納骨まで7つの段階を踏みます。途中に行政手続きが挟まるため、順番を入れ替えられない場面があります。

1. 親族で話し合う

墓じまいと永代供養を進める上で、最も大切なのが親族間での話し合いです。「お墓をなくすこと」に対して、高齢の家族や親族から反対意見が出ることもあります。のちのトラブルを防ぐためにも、お墓の現状や将来の管理負担を具体的に伝えたうえで、合意を得てから次に進みます。

2. 今の墓地の管理者に相談する

親族の同意が得られたら、現在のお墓がある墓地の管理者(菩提寺の住職や霊園の管理事務所)に墓じまいをしたい旨を相談します。これまでお墓を管理してきた経緯を踏まえて事情を伝えると、その後の手続きが進めやすくなります。

3. 遺骨の受け入れ先を決める

墓じまいと並行して、新しく遺骨を納める永代供養先を決定します。遺骨をいつまでに納めなければならないかという期限は法律上ありませんが、墓じまいのスケジュールに合わせて、墓石を撤去する前に新しい納骨先を決めます。

4. 改葬許可を申請する

遺骨を別のお墓に移す(改葬する)ためには、行政手続きが必要です。現在のお墓がある市区町村役場から「改葬許可申請書」を取り寄せ、必要事項を記入して提出し、「改葬許可証」を取得します。この申請には、現在の墓地管理者が発行する埋蔵証明書と、新しい永代供養先が発行する受入証明書などが必要です。埋蔵証明書は自治体によって「納骨証明書」と呼ぶこともあり、書類の名称や様式は市区町村で異なります。申請先の窓口で確認してください。

5. 閉眼供養を勤めて遺骨を取り出す

遺骨を取り出す前に、これまでお参りしてきたお墓に対する法要をお勤めします。一般には「閉眼供養(へいがんくよう)」と呼ばれますが、浄土真宗では「魂を抜く」という考え方をしないため、法要の名称や意味づけは宗派によって異なります。お寺の住職にお経をあげていただいた後、石材店に立ち会ってもらい、墓石を開けて遺骨を取り出します。

6. 墓石を撤去して墓地を返す

作業が完了したら、墓地の管理者に敷地を返還します。ここで墓じまいの手続きは完了です。

7. 新しい供養先に納骨する

取得した「改葬許可証」を新しい永代供養先に提出し、納骨を執り行います。納骨に際しては法要をお勤めし、遺骨が安置されます。

墓じまいと永代供養にかかる費用

費用は墓じまい側と永代供養側に分かれ、それぞれ性質が異なります。両方を合わせた総額は50万円から150万円程度が一つの目安で、これに加えて檀家をやめる場合には離檀に伴う費用も検討することになります。

墓じまいにかかる費用の内訳

墓じまいにかかる費用の内訳の図解。墓石の解体・撤去は1平方メートルあたり8万円〜15万円、閉眼供養のお布施は1万円〜10万円、寺院墓地の場合の離檀料はお寺さまに相談、改葬許可などの行政手続きは無料〜数千円。項目ごとの内訳を出してもらう

墓じまいの費用は一つの項目ではなく、複数の費用が積み上がります。墓石の解体・撤去工事費、遺骨を取り出す作業費、閉眼供養のお布施、改葬許可申請などの行政手続き費用、遺骨の移送費、そして檀家をやめる場合の離檀に伴う費用です。

石材店の作業費用は、お墓の広さと立地で変わります。重機が入らない区画では人力での解体になり、その分が上乗せされます。見積もりを取るときは、総額だけでなくどの項目までが含まれた金額かを確認します。

費用の項目 金額の目安
墓石の解体・撤去 1平方メートルあたり8万円 〜 15万円
閉眼供養のお布施 1万円 〜 10万円
離檀料(寺院墓地の場合) お寺さまに相談
改葬許可などの行政手続き 無料〜数千円(自治体により異なる)

墓地の広さや立地、遺骨の数によって幅があるため、石材店には項目ごとの内訳を出してもらいます。複数の石材店から見積もりを取ると、提示された金額が妥当かどうかを判断しやすくなります。

永代供養にかかる費用の相場

永代供養にかかる費用は、納骨の方法や施設の形態によって幅があります。公益社団法人全日本墓園協会・横田睦(厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書)によると、永代供養墓(合葬式埋蔵施設)の料金設定は「おおむね10万〜50万円未満が4割弱、50万〜100万円未満が4割強、つまり、これらを合わせれば、10万〜100万円未満の費用設定が8割を占める」とされています。最初から合祀する形であれば5万円から30万円程度と、個別に安置する形より費用を抑えられます。種類ごとの費用の違いや予算別の選び方は、永代供養の費用相場をまとめた記事で詳しく扱っています。

離檀に伴う費用の考え方

寺院の檀家をやめる(離檀する)際、これまでの感謝の気持ちとしてお渡しする「離檀料(りだんりょう)」について悩まれる方もいらっしゃいます。離檀料は法律で定められたものではなく、お寺への感謝を表すお布施の一種です。金額を一方的に決めるのではなく、これまでの付き合いを踏まえてお寺と相談します。話し合いがまとまらず、支払いが難しいほどの金額を求められた場合は、消費生活センターや弁護士に相談するという選択肢もあります。

費用の負担が重いと感じたときに確認できること

公営墓地に納骨している場合、墓所を更地にして返還したときに納付済みの使用料の一部が戻る還付制度を設けている自治体があります。ただし制度がある自治体は限られており、主要都市の多くでは設けられていません。大阪府内でどの市町村に墓じまいの補助金にあたる制度があるかは、別の記事で詳しく扱っています。

受け入れ先を決める前に確認しておきたいこと

新しい供養先を決定する前に、厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書に示された安置期間の実態や、厚生省生活衛生局長(現厚生労働省)の「墓地経営・管理の指針」に基づく契約内容の確認ポイントを押さえておきます。同指針では、無縁墓となった際の取扱いの問題も生じるため、管理料との関係や何らかの期限を定めて、どのような場合に契約が解除されたり、合葬墓に移されたりするのかを明確にすることが望ましいとされています。

個別に安置される期間と合祀に移る時期

公益社団法人全日本墓園協会・横田睦(厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書)によると、個別安置の期間について「『33年(33回忌)』というのが、162件で全体の3割弱、『永代』は92件で2割足らずに留まります」とされています。何年間個別に安置され、いつ合祀に移るのかは、契約前に必ず確認します。

合祀は他の方の遺骨と一緒に納める形のため、一度合祀されると個別に取り出すことはできません。将来的に遺骨を移す可能性が少しでもあるなら、個別安置の期間と取り出しの可否を契約前に確かめておきます。

契約が解除される条件が示されているか

契約を結ぶ前に、規約や契約書に解除条件がどう書かれているかを確かめます。管理費の支払いが滞った場合や、一定期間連絡が取れなくなった場合の取り扱いについて、事前にしっかりと確認しておきましょう。

宗旨・宗派の条件と檀家になる必要があるか

多くの永代供養墓では、これまでの宗旨・宗派に関わらず受け入れていますが、契約後にお寺の檀家になる必要があるか、あるいはそのお寺の儀礼に従ってお勤めを執り行う必要があるかを確認しておく必要があります。多くの寺院や霊園に設置されている永代供養塔とはどのようなものか、またその利用にあたって特定の宗派の儀礼に従う必要があるかなどを、事前に確認しておきましょう。

年間管理費の有無とお参りのしやすさ

永代供養の契約後に、年間管理費などの追加費用が発生しないかを確認します。お参りに行きやすい立地か、バリアフリー設備が整っているかも合わせて見ておきます。

受け入れ先を決める際は、事前に現地を見学することをおすすめいたします。例えば、私ども西栄寺の大阪本坊にある納骨堂「泰心堂」では、見学を予約なしでいつでも受け付けており、月10件前後の見学希望がございます。見学当日にその場で契約を求めることはなく、ご家族でじっくりご検討いただける案内方針を取っております。見学の場でその日のうちに契約を求められないかどうかは、受け入れ先を見るときの一つの目安になります。

墓じまいを終えたあとに残るもの

墓地を返還しても、お仏壇や法要といった供養の形は手元に残ります。

お仏壇をどうするか

お墓を整理する際、ご自宅にあるお仏壇の今後について悩まれる方も少なくありません。お仏壇を処分する際の手順やマナー、具体的な方法については、仏壇処分の専門ガイドで詳しく解説していますので、参考にしながら正しく執り行いましょう。

法要はこの先も勤めるのか

永代供養に移行した後も、ご家族の希望に応じて年忌法要(一周忌や三回忌など)を個別にお勤めすることは可能です。お寺や霊園に依頼して、節目ごとに法要を勤めることができます。

永代供養と墓じまいに関するよくある質問

墓じまいと永代供養を進めるにあたって、判断に迷いやすい点をまとめました。

墓じまいをして永代供養にする場合、費用はいくらかかりますか?

墓じまい側と永代供養側を合わせて、50万円から150万円程度が一つの目安です。選ぶ供養先の種類や遺骨の数、墓所の広さによって幅があります。

永代供養の部分については、厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書が「10万〜100万円未満の費用設定が8割を占める」としています。墓じまい側は、墓石の撤去工事費・出骨作業費・閉眼供養のお布施・行政手続き費用・移送費が積み上がるため、石材店に項目ごとの見積もりを依頼して確認します。

永代供養は何年してもらえるのですか?

永代供養の安置期間は「33回忌(33年)」までとしているところが多く見られます。

お寺や霊園によって期間は異なり、13年、17年、50年などの設定もあります。個別安置の期間が過ぎた後は、他の方の遺骨と一緒に合祀(合葬)され、お寺が引き続き供養を勤めます。

墓じまいをしたあと、遺骨はどこに移すのですか?

墓じまい後の遺骨は、新しく契約した永代供養墓(納骨堂や樹木葬、合祀墓など)に移して納骨します。

その他にも、ご自宅で保管する手元供養や、海や山に撒く散骨といった選択肢もあります。どれを選ぶかは、遺骨をどこに置きたいかという家族の考え方によって変わります。

墓じまいをしたいのですが、費用が用意できません

公営墓地に納骨している場合は、墓所の返還で使用料の一部が戻る還付制度がないか、その自治体に確認します。ただし制度がある自治体は限られています。

あわせて、最初から合祀する永代供養は個別安置のものより費用を抑えられるため、受け入れ先の候補を広げて相談します。石材店によっては分割払いに対応しているところもあるので、見積もりの段階で支払い方法も含めて尋ねてください。

墓じまいには親族全員の同意が必要ですか?

法的な義務はありません。ただし後から反対が出ると手続きが止まるため、親族の合意を得てから進めます。

お墓は親族全員にとって大切な場所です。相談なしに進めてしまうと、感情的な対立を生む原因になります。時間をかけて話し合います。

まとめ

墓じまいはお墓を撤去して墓地を返すこと、永代供養はお寺や霊園が管理と供養を引き受ける仕組みで、この二つをセットで進めるのが本記事で扱った流れです。

手順は、親族での話し合いから始まり、今の墓地管理者への相談、受け入れ先の決定、改葬許可の申請、閉眼供養と遺骨の取り出し、墓石の撤去、新しい供養先への納骨と続きます。改葬許可の申請には受け入れ先が発行する受入証明書が必要になるため、墓石を撤去する前に納骨先を決めておきます。

費用は墓じまい側と永代供養側を合わせて50万円から150万円程度が目安で、墓石の解体・撤去、閉眼供養のお布施、行政手続き、離檀に伴う費用が積み上がります。

受け入れ先を決める前に確認しておきたいのは、個別に安置される期間と合祀に移る時期、契約が解除される条件、宗旨・宗派の条件と檀家になる必要の有無、年間管理費の有無の4点です。厚生省生活衛生局長の指針も、どのような場合に契約が解除されたり合葬墓に移されたりするのかを明確にすることが望ましいとしています。

墓じまいと永代供養は、親族との話し合いから納骨まで数か月かかることもあります。西栄寺では大阪・兵庫・東京の主要6拠点で納骨堂と永代供養墓をご用意しており、改葬先をお探しの段階からご相談を承っています。

→ 西栄寺で受け入れ先の懇志金を確かめる

→ 西栄寺の住職に改葬先の選び方を相談する

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参考文献

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この記事を書いた人

西栄寺の住職、山田博泰です。僧侶として70年、住職として40年にわたり、ご葬儀や法事、永代供養、納骨堂のご相談にお応えしてきました。「はい!っと返事、にこっと笑顔で、ぽん!っと行動」を教訓に、檀信徒の皆さまに親しみやすいお寺をめざして歩んでいます。供養や終活で不安を抱える方へ、お寺の立場から丁寧にお伝えします。

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