お仏壇について

 「お仏壇は亡くなった人をお祀りするところ」と、こう思っておられる方は非常に多いことでしょう。しかしお仏壇というものは文字通り仏様をご安置するところです。浄土真宗のお仏壇なら正面の一番奥に「阿弥陀如来」がいらっしゃいますが、ご本尊であるその阿弥陀如来こそお仏壇の中心です。

 「壇」とは他より一段高い台のことですが、仏様の為にしつらえた一段高い台を仏壇と言います。お寺の本堂の中心には仏様がいらっしゃる「須弥壇」という台がありますが、これも広い意味ではお仏壇なのです。

 ちなみにご家庭のお仏壇もお寺の本堂も極楽浄土を模した造りになっています。浄土真宗のお仏壇が金仏壇である理由もそこにあります。あのきらびやかな金仏壇は実は光り輝く極楽世界の表現だったという訳です。

 よく「お仏壇を買ったのでお魂入れをお願いします」とか「引っ越すので仏壇から魂を抜いてほしい」といったご要望を承りますが、上記のことをご理解頂ければ、なぜ入魂ではなく入仏なのか、なぜ抜根ではなく遷座なのかについてご納得頂けるのではないでしょうか。あくまでも阿弥陀如来をお迎えする入仏法要、また阿弥陀如来に座を移って頂く遷座法要であって、亡くなった方の魂が出たり入ったりしている訳ではありません。